Slingshotrifle

スリングショットのゴム自作で威力を強力にする方法

スリングショット中級者になってくると自分でゴムを作り、自分に合ったカスタマイズをしたいという気持ちが出てきます。私も市販のゴムではなく自分の撃ち方にあったゴムを作るため、いろいろと勉強をしました。このページでは初めて平ゴムでスリングショットのゴムを作ろうと考えている方向けに、ゴムの種類や、どのような道具がいるのか1から説明していきます。

スリングショットのゴムの種類

スリングショットのゴムは、主に天然ゴムと合成ゴムの2種類があり、どちらのゴムも伸縮性が高くスリングショット用のゴムとしては良いのですが、それぞれ特徴があるため目的によって使い分けるとよいでしょう。

天然ゴム

天然ゴムは、天然樹脂から作られたゴムで、弾力性が高く、伸縮性に優れています。ただし、紫外線や空気によって酸化しやすいため、劣化しやすい点がデメリットです。天然ゴムの色は飴色をしており合成ゴムとの見分けは簡単です。初速重視の方はこちらの天然ゴムをベースにするとよいと思います。

合成ゴム

合成ゴムは、石油由来の原料から作られたゴムで、耐久性や耐候性に優れています。一般的には、シリコンゴムやポリウレタンゴムがスリングショットに使用されます。合成ゴムは、耐久性が高く、劣化しにくいため、長期間使用することができます。天然ゴムと比べて初速は遅くなりますが、差は大きくはないので耐久性重視の方は合成ゴムがお勧めとなります。

スリングショットのゴムの形状の違い

本記事ではスリングショット用の平ゴムの自作方法を紹介していますが、平ゴム以外にもスリングショットファルコンバーネットスリングショットダイアブロといった丸ゴム仕様のスリングショットもあります。主な違いは耐久性と初速の違いで、平ゴムのほうが初速が速く、丸ゴムのほうが耐久性が高いという違いです。コスト重視の方は丸ゴム、威力重視の方は平ゴムといった選び方が一般的ですが、上記のファルコンやバーネットといった北米ブランドのスリングショットの場合専用ゴムが必要であるためランニングコストがかなり高くなります。

スリングショットゴムの強さと最適な厚さ

ここでいうゴムの強さとはゴムを引くために必要な力のことを指します。強力なゴムとは引きの強いゴムを指しますが、本当の意味で強力なゴム(初速が最も早くなるゴム)とはゴムの厚さ、伸び率が玉の重さ、弾受けの重さに対して最適化されている物を指します。

スリングショットゴムの強さ

スリングショットゴムの選び方でも解説していますが、ゴムが強ければ強いほど初速が速くなるというわけではありません。確かに球が重い場合、厚く引きが重いゴムを使用した方が薄いゴムを使用するよりも良い結果が出ますが、球の重量が軽い場合は厚いゴムよりも薄いゴムのほうが初速が速くなります。ゴムの強さは球の重さによって最適なものがおおよそ決まっていますが、加速距離が長ければ、重い球でも薄いゴムで厚いゴム以上の初速が出ることもあり、全ての変動要因を考慮しなければゴムの最適な厚さは求められません。スリングショットのゴムを強力にする一番の方法は加速距離、つまりゴムをどれだけ長く伸ばすかを変更する事です。ゴムにはそれぞれ最適な伸び率が存在し、その伸び率が最適となるよう、ゴムの長さと自身の手の長さを合わせる必要があります。他にも厚さやテーパー具合などもゴムの強さを決定づける要因があるので見ていきましょう。

厚さ

他の記事でも説明していますが、以下が球の大きさに対するおおよその最適なゴムの厚さです。

厚さ(mm) 玉サイズ(mm)
0.4 7~7.5
0.45 7.5~8
0.5 7.5~8
0.55 8~8.5
0.6 8~8.5
0.65 8.5~9
0.7 8.5~9
0.75 9~9.5
0.8 9~9.5~10
0.85 9~9.5~10
1.00 9~9.5~10
1.2 10~11~12
1.5 10~11~12

例えば、8ミリの球を使用する場合、ショートドローの場合ゴム厚さ0.6mmの物を使用し、ロングドローの場合0.45mmを使用するといったように、どれくらいの加速距離で球を放つのかによってゴムの最適な厚さが変わります。また、ゴム自体の性能にも最適な厚さが左右されるため、上記の表はあくまで目安となります。したがって、自身で試行錯誤しながら最適な厚さを探す必要があります。また、使用できるゴムの厚さはスリングショットによって異なるため、事前に調べておくことが大事です。もし、現在使用中のスリングショットが使いたいゴムの厚さに対応していない場合は”スリングショット通販”の記事でスリングショット販売店と様々な種類のスリングショットを解説、比較しているので参考にしてみてください。

ゴム自作のために必要な道具

スリングショットのゴム自作には、以下の道具が必要です。そんなに値が張るものではないので長期でスリングショットを使用していこうと考えている方は専用の道具を揃えてみてもいいかもしれません。

ロータリーカッター

ロータリーカッター

普通のカッターでもゴムを切ることはできますが、ケバが出たり、曲がってしまったりと、奇麗に切ることは難しいです。ゴムに少しでも均一に切られていない場所があれば、そこからゴムが切れてしまうので、ロータリーカッターはゴム自作の必需品といえます。

カッターマット

ロータリーカッターの性能を100%引き出すにはカッターマットも必需品です。下に段ボールを引いてゴムを切れなくもないですが、まっすぐ切れなかったりする場合があるのでカッターマットも揃えるようにしましょう。

定規

基本的にカッターマットに定規がついているので長さを図ったりはできますが、定規はゴムを切るときゴムを抑えるのに必要となります。定規は直線状の物があれば代用可能です。

ペン

ゴムにどこを切ればよいのか目印をつける際に必要になります。水性だと少し擦れただけで消えてしまうので、油性の物がおすすめです。

ゴム固定器

スリングショットゴム自作ツール

ゴムを弾受けに結ぶときに、ゴムを引っ張ってからでなくては糸がゴムに食い込まないため外れやすくなってしまいます。したがって、上の写真のような専用ツールはゴムを弾受けに結びつける際に必要となります。ゴムを引っ張り固定できるような物があれば代用は可能ですが、専用ツールのほうが固定は簡単なのは言うまでもありません。

ハサミ

ゴムを固定する糸を切るのと、ゴムを結んだあとの余った端の部分を切るのにも使用します。糸切ハサミが使用しやすいです。

弾受けを選ぶ

弾受けは、ゴムが弾をしっかりとホールドできるようにする重要な部分です。弾受けの重さでも初速が変わってくるので自分に合う素材、厚さ、大きさを見極める必要があります。弾受けに使用されるのは以下の二つの素材がメインとなります。

天然皮革

レザーは、耐久性があり、柔軟性も兼ね備えており、牛皮、羊皮といった皮がスリングショットの弾受けに使用されます。手に馴染む柔らかさがレザーの特徴です。

人工皮革

人工皮革は不織布に合成樹脂を合わせたもので、軽く安価なのが特徴です。耐久性も天然皮に比べて遜色なくスリングショットの弾受けにもっとも使われている素材です。人工皮革には表面が起毛されている物とスベスベの鏡面になっている物の2種類ありますが、球を包み込む側はグリップが必要になるため起毛されているものがお勧めです。手で持つ側の面は好みが分かれるところで、どちらでもパフォーマンスに影響はありません。

スリングショットのゴムを縛るための専用糸

ゴムを縛るための糸は、ゴムが傷づかないような物を選ぶ必要があります。一般的に使用されるのは2種類あり、どちらでも性能に影響はありません。

平ゴム帯

平ゴム帯

ラテックスで作られている帯で、伸縮性が高くゴムで作られているためスリングショットのゴムを傷つけることがありません。国内で販売されていないので、自身で輸入するしかないのが現状です。

ゴムテグス

ゴムテグス

ゴムテグスは一般的にビーズに使用される物ですが、伸縮性と強度が高いため、スリングショットのゴムを弾受けに結び付ける際にも使用されます。こちらはアマゾンなので入手可能です。

ゴムの長さの測り方

ゴムの長さは、射手の腕の長さとシューティングスタイルによって調整します。一般的に、ゴムの伸縮率は約4倍~5倍が適切とされています。これ以上ゴムを引いても引くのに必要な力は上がりますが初速の伸びは小さくなっていきます。しかしながら、ゴムによって伸縮率の適正値があるので、自身で実験して探る必要があります。それでは次にゴムの長さを決める手順を見ていきましょう。

スリングショットのゴム固定部分の深さを測る

平ゴムの場合、ゴムを挟み込んで固定する機構の物がほとんどなので、挟み込む部分の深さを測りメモしておきましょう。木製の場合ゴムを縛り付けるので、現在ゴムを縛り付けている部分の長さを計っておきます。

スリングショットから実際にゴムを引く位置までの距離を測る

実際にスリングショットを持ち、普段撃っている構えを取り、スリングショットから手の位置までの長さを測ります。巻き尺などがあれば便利です。

ゴムの長さを計算する

次にゴムの長さを決めますが、初速を重視するのか、使用回数を重視するのかによって長さが異なるため、どちらを求めるのか決めます。初速を重視するなら伸び率を限界まで設定するほうが良いですし、使用回数の場合伸び率を控えめにするようにします。

実際に例を見てみましょう。手を放す位置からスリングショットまでの距離が75センチで、初速重視の伸縮率5倍のゴムを作る場合75/5=15cmとなります。これにスリングショットのゴム固定部の長さと、弾受けに結び付ける部分(1.5cmほど)の長さを足し、切るゴムの長さを算出します。

ゴムのテーパーの計算

ゴムのテーパーは、弾の発射速度と使用回数に大きな影響を与える要素です。この先細り加工で30%~50%の速度向上が見込ますが、テーパーをかければかけるほど、ある一定のラインまでは初速が上昇しますが耐久性は落ちていきます。ある一定のラインを超えると、球と弾受けに重量に対して必要な力が足らなくなるため、逆に速度が落ちる現象が現れます。このラインがゴムが出せる最強限界としてゴムのテーパー具合を決定します。1ミリの差で初速が大きく変わるので、何種類かテーパー具合を変えたゴムを用意するとよいでしょう。

ゴムの結び方

スリングショットの結び方 ott ttf

スリングショットのゴムの結び方には、OTT(オーバー・ザ・トップ)とTTF(スルー・ザ・フォーク)の2種類があります。ゴムをスリングショットのどこに付けるのかで結び方が変わってきますが、私が試した限りではどちらの結び方でも結果は変わらないと思っています。

  • OTT(オーバー・ザ・トップ)は、ゴムをフレームの上部から通す結び方です。
  • TTF(スルー・ザ・フォーク) は、ゴムをフレームのフォーク部分を通す結び方です。

ゴム自作のメリット

ゴム自作には、以下のメリットがあります。

コスト削減

市販のスリングショットゴムに比べて、ゴム自作はコストが抑えられます。大量にゴムを購入し、自分でカットすることで、1つあたりのコストを非常に安くする事ができます、毎日使うようなヘビーシューターの方にはゴム自作をお勧めします。

カスタマイズ性

ゴム自作では、自分の射撃スタイルや好みに合わせて、ゴムの強さや厚さ、長さを調整することができます。市販品にはない独自のスリングショットゴム(例えば初速を限界まで追求した薄命なゴム等)を作成することが可能です。

スリングショットのゴム自作におけるトラブルシューティング

ゴム自作中にトラブルが発生した場合には、以下の対処法を試してみましょう。

  • ゴムが破れやすい

ゴムが破れやすい場合は、ゴムが劣化しているか、ゴムを切った際にゴムが均等に切れていない可能性があります。新しいゴムを購入するか、まっすぐゴムをケバなく切れるよう定規とカッターマットロータリーカッターを用意しましょう。ゴムを保管する際には、直射日光や高温多湿を避けることで、劣化を抑えることができます。

  • 初速が遅い

初速が遅い場合はゴムの伸縮率、ゴムの厚さが適切でない可能性があります。ゴムの長さ厚さを調整し、試してみましょう。

スリングショットのゴム自作に関するよくある質問

  • ゴムの寿命はどれくらいですか?

ゴムの寿命は、使用頻度や環境条件、ゴムの種類によって異なります。適切な保管やメンテナンスを行うことで、ゴムの寿命を延ばすことができます。通常、ゴムは数ヶ月から1年程度の寿命がありますが、使用状況によってはそれ以上持つこともあります。ゴムの一番の敵は日光です。保管時は紫外線の当たらない場所に保管しましょう。

  • ゴムが切れた場合、どのように修理すればいいですか?

ゴムが切れた場合交換するほかありません。たとえ片方切れただけでも、もう片方もすぐに切れるので、新しく作るか購入するかしたほうが良いです。

  • ゴムの伸び率はどれくらいを目安にすべきですか?

一般的に、ゴムの伸び率は、ゴムの長さの4倍から5倍までとされています。ただし、ゴムの種類や厚さによって最適な伸び率が異なるため、自分に合った伸び率を見つけるために試行錯誤が必要です。

  • どのような弾が適切ですか?

スリングショットに使用する弾は、スチール玉やガラス玉などが一般的です。弾の大きさや重さによって飛距離や精度が変わるため、自分に合った弾を選びましょう。また、環境に配慮した素材の弾を選ぶことも重要です。球形でない球を使用する場合はどうしても精度が落ちるので、ここぞというときは必ず球形の球を使用することをお勧めします。

  • ゴムを買う際の注意点は?

ゴムを購入する際には、自分の目的や好みに合った種類のゴムを選びましょう。特に長さと厚さは重要なので、必ず確認するようにしましょう。

まとめ

スリングショットのゴム自作には、コスト削減やカスタマイズ性のメリットがあります。ゴムの種類、ゴムの厚さや長さを調整することで、自分に適したスリングショットゴムを作成することができます。ゴム自作には、カッターや定規、ペンなどの道具が必要です。また、弾受けに結び付ける際には釣り糸などは使用せず、ゴム製の糸を使用するようにすると耐久性が上がります。初めは上手くいかない事もあると思いますが、トラブルシューティングを行いながら、自分だけのスリングショットゴムを作り上げてみてください。

もっと詳しくスリングショットについて知りたい方はスリングショットの知識をまとめたスリングショットのページをご確認下さい。

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