最強のスリングショットとは?威力、射程距離、殺傷能力を解説
1893年にゴムが発明されてから、スリングショットは防犯用、害獣駆除用、狩猟用、時には軍隊にも採用されるなど様々な用途に使用されてきました。そして今、新たな進化を遂げた「スリングライフル」が注目を集めています。その脅威の威力、射程距離や殺傷能力の真相とは?最強のスリングショットについて徹底解説いたします。
最強のスリングショット
スリングショットはゴムで球を打ち出す道具の総称を指しますが、たとえ動力がゴムでもその威力は装薬銃に匹敵する物もあります。現在確認されている最強のスリングショットはドイツ人youtuberのJorg Sprave氏が制作したスターシップ型のスリングショットで、25mm(68.1グラム)のスチール球を63.05m/秒で射出する能力があります。その威力は135ジュールとなっています。威力だけでいえばエアライフル三倍程度の威力を有していることになります。
参考動画はこちら
ゴムの引きの長さが195cmメートルで、使用ゴムは恐らくセラバンドのゴールドだと思われます。力のあるドイツ人だからこそここまでの高威力を出せるので、体格で劣る日本人がこの記録に挑むことは難しいと思われます。
しかし、従来のスリングショットとは異なり、足の筋力を利用してゴムを引くスリングライフルという進化型のスリングショットがあります。これにより、精度と威力が大幅に向上し、日本人の体格でも十分に扱えるようになっています。スリングライフルの魅力については次の段落で詳しくご紹介してますので、ぜひ最後までご覧ください。
最強の進化型スリングショット:スリングライフルの威力、飛距離、射程距離とは
スリングライフルは、従来のスリングショットを超える威力と精度を持つ新世代のツールです。その強力な性能は、特に山間部の農家や畜産関係者にとって、害鳥や害獣対策の強力な味方となっています。ゴムを引いたまま狙いをつけられるスリングライフルは、スコープを搭載することで高い命中精度を実現。練習なしでも簡単に扱える点が魅力です。
例えば、斜めに撃った場合の飛距離は300メートル程度で、鳥類に対しての殺傷能力を考慮した有効射程距離は約50メートルです。当店で取り扱うスリングライフルは、50メートル先でも20センチの精度で弾着するため、害鳥駆除や害獣の追い払いに最適です。害獣や害鳥の被害に困っている方は、ぜひ一度スリングライフルの詳細をご覧になってみてください。
最速のスリングショット
上述の最強のスリングショットはジュールを基準に紹介しましたが、ジュール(威力)とは重さ(g) * 初速(m/s) * 初速(m/s) / 2000で計算されます。つまり、射出するものが重ければ重いほど、また速度が速ければ速いほど威力が増す事になります。最速のスリングショットもまた、最強と言えるのではないでしょうか。公式記録としてスリングショットの最速レコードは記録されていませんが、Youtubeの動画で見つけた最速と思われるのは、1611torstenが上げている272m/秒(979キロ/時)が最速です。使用している弾は7.5mm(1.7グラム)でセラバンドの緑を使用しています。通常時の速度は140m/s程ですが、熱湯でゴムを温め速度を出しているようです。
最弱のスリングショット ファルコン
スリングショットについて検索をかけると、スリングショットファルコンを使用している方や、ファルコンのゴムの引きが強いので、ファルコンが最強のスリングショットだと書いている方がいますが、実際はスリングショットのファルコンは最弱の部類に入ります。ファルコンの純正丸ゴムは確かに硬く、非常に引きにくいため威力がありそうと勘違いしてしまいますが、実際にファルコンの初速を測ると、50m/秒程度と初速が遅く、威力という意味ではスリングショットの中で最弱の部類に入ります。しかし、ファルコンの優れているところは耐久性で、300発程度は余裕で撃つことができます。初速が速いとゴムへのダメージが大きくなるため、高耐久のゴムは総じて初速が遅くなるよう設計されています。
日本で購入できる最強のスリングショット
スリングライフルが最強ですが、従来のスリングショットという意味でなら当店で販売している狩猟用合金製スリングショットが最強です。スリングショットの威力を決定付けるのはスリングショットではなくゴムで、こちらのスリングショットのゴムの記事で詳しくスリングショットのゴムの最適化方法を説明していますが、初速が最も早く扱いやすいのが平ゴムタイプのスリングショットです。現時点で日本で販売されているスリングショットの中で、平ゴムを使用できるのはサンダースのリストロケットとファルコン2、当店で販売している狩猟用合金製スリングショットのみです。私自身で前述のサンダースのスリングショット2種を使用してみましたが「日本人向けの設計ではなく、引きが重いので精度を出すのが難しい。」というのが素直な感想です。2種類ともスリングショット自体の作りはしっかりしているので良いスリングショットだと思いますが、昔に弓道をやっていたり平均的日本人男性以上の筋力のある方以外にはお勧めできません。また、ほかの購入者からの情報によると、ファルコン2は標準装備のポーチに問題があるらしく、ゴムは耐久性が高いのですがポーチが貧弱で30発程度で壊れてしまったという事なので、購入するのなら替えのゴムか他社製のゴムを一緒に購入するほうが良いかもしれません。
初速は使用弾、撃ち方、ゴム、テーパー具合に依存するので自身で細かく設定するのが一番ですが、めんどくさいという方は長さ、テーパー具合、厚さを最適化してあるスリングショット用ゴム(ミドルドロー)、スリングショット用ゴム(ショートドロー用)をご覧になってみてはいかがでしょうか。
スリングショットの飛距離と射程距離
スリングショットの飛距離は、日本で販売されているスリングショットの中での最弱の部類に入るファルコンでさえ、斜め撃ちで100メートル程度は飛びます。射程距離はファルコンでは20メートル、平ゴム仕様のスリングショットで、30メートルが限界です。それ以上の距離は、正確に弾を当てることが困難になります。これはスリングショットの弾道が直線ではなく山なりに飛ぶことが原因で、的が遠くであればあるほど射手はその距離を測り、玉のドロップを計算して撃ち出す角度を決めなければならないからです。例えば20メートル先の的を撃ったつもりでも実際の距離が23メートルだった場合、着弾地点が10CM近く下になります。また、初速が遅ければ遅いほど弾道の落ちが大きくなるため、ファルコンやコブラといった初速の遅い丸ゴムを使用しているスリングショットでは射程距離が短くなります。また、初速が遅いと弾道が山なりになるので、命中精度も低くなります。
スリングショットの殺傷能力
過去に起きた事件の中でスリングショットでの殺人というのは一度も起こっていません。殺傷力という意味ではナイフやボウガンの方がはるかに高く、スリングショットで人を殺傷することは現実的に不可能だと思われます。殺傷力とはいかに運動エネルギーを対象の内部に伝えるかで決まるため、単純に質量と速度でどれほどの殺傷力があるのかは判別できません。米国のslate.comのニュース記事を参考にすると、銃弾が人間の皮膚を突き破るには最低でも60m/秒が必要とされていますが、しかし場合によっては225m/秒でも突き刺さらず弾をはじいてしまう事があるようです。これは人によって皮膚の厚さが違うことに加え、どの部位に弾が当たるか、どういう形状の弾なのかで弾丸が皮膚を突き破るかどうか決まるため一概にはどの速度とは言えないためです。スリングショットの弾の形状は球状で衝撃力を一点に集中させることのできるような形状では無く、速度は速くても80m/秒程度で、貫通力は当たる場所の弾力性にも左右されるため脂肪がある部位の皮膚を突き破り人体内部まで衝撃力を伝えることは難しいと思われます。10ミリの球を使用した場合、5ミリ程度のベニヤ板を貫通する程度の威力はありますが、脂肪がほとんど無く急所になりえる人体の部位であるこめかみ部分でさえ筋肉と5ミリ程度の側頭骨で保護されており、骨密度はベニヤ板の2倍~3倍あるため、至近距離で撃ったとしても側頭骨を突き破るまではり脳に近い血管に傷をつける事は現実的ではありません。したがって、スリングショットの人体に対しての殺傷力はかなり低いと思われます。
スリングショットの威力を上げるには
スリングショットの威力は撃ち出す物の重量と速度によって決定づけられます。速度を上げるにはゴムを変えることが有効で、自分に合ったゴムの長さ、厚さをカスタムする事が威力の底上げに非常に有効です。ゴムはスリングショット狩猟用の威力の記事内での実験結果から平ゴムのほうが初速が早いことが分かっているので、平ゴムをチョイスするとよいでしょう。初速を上げるのなら、自分でゴムを切り自分に合う長さに加工するのが一番良い方法ではありますが、今現在丸ゴムを使用しているのなら、アマゾンに売っている平ゴムに変更するだけでも初速を上げる効果はかなりあるでしょう。
ゴムの長さ
スリングショットのゴムを引いた時、最も初速が速くなるゴムの長さが五倍~六倍の間なので、自分の撃ち方に応じて、長さが最適になるようゴムの長さを調節する必要があります。初速を上げるのに、テーパー加工というものを施すとさらに速度を上げられるます。大体のケースにおいて最も効率の良いゴム幅の比率は2:1です。一方のゴム幅が3センチだとしたら、もう一方の端側の幅は1.5cmになるようにゴムをカットします。この加工で初速が30~50%の上昇が見込めます。
初速はゴムの伸び率以外に、どれくらい加速距離が有るのかで変わってきます。加速距離とはゴムを伸ばした時の長さと、元々の長さの差の事を指し、この加速距離が長ければ長いほど初速が早くなります。加速距離を稼ぐには後述する撃ち方を変える方法があります。
スリングショットの玉の違い
スリングショットの威力を高めるのに考えなければならないのが、玉の大きさと材質は何を選ぶかです。玉の大きさ材質は貫通力と威力に大きな影響を及ぼします。一般的に使われるスリングショットの玉の材質は鉛、スチール、クレイの3種類で、鉛、スチール、クレイの順に比重が軽くなっていきます。比重が重ければ、同じ大きさでも重くなるため威力が高くなるわけですが、鉛は柔らかいので貫通力という意味ではスチールの方が高く、頭部のような硬い部位を狙う場合は衝撃を100%伝えることができる鉛の方が破壊力は高くなります。クレイボールは標的に当たると砕ける上に軽いので、ダメージを与えることはできません。また、石やナットといった物も弾として使えなくはないですが、精度は出せません。もっと詳しくスリングショットの弾について知りたい方は、様々なスリングショット用の弾とサイズ、重さ、威力の違いなどを詳しくまとめたスリングショットの玉はどれがお勧め?の記事も見てみてください
小型の鳥類を狙うのであれば8mmスチール球、カルガモ、マガモいった大型の鳥類なら9mmスチール球、リスやウサギといった小型の獣類を狙うなら12mmスチール球がお勧めです。いずれも頭部、頸部をヒットできれば致命傷になります。スリングショットでは大型の鳥類の羽を破壊して、胴体を貫通するほどの殺傷力は例え鉛玉でも出せないので鉛球を使用する理由が有りません。鉛の使用は鳥類が誤って飲み込んでしまい鉛中毒になる可能性があるので使用を控えるようにしましょう。
ゴムを温める
ゴムは引っ張ると、引っ張られた時のエネルギーを熱という形で保存します。前述の「最速のスリングショット」で少し触れていますが、一般的にゴムの温度が高ければ高いほど初速が速くなると実験結果から分かっています。つまり、ゴムの熱エネルギーが逃げないよう、ゴムは引いたらすぐに撃つほうが初速は速くなります。また、冬などはスリングショットをポケットに入れ撃つ直前まで体温で暖めておくと初速の維持に役立ちます。
ゴムの引きの重さ
ゴムの引きが重いほど初速が早くなると考えてしまいますが、それは違います。ゴムの引きの重さと初速は確かに関係はありますが、ゴムを厚くして、ゴムの引きを重くすれば重くするほど初速が上がるわけではありません。例えば8ミリのスチール球を使っている場合、0.5~0.8mmのゴムの厚さが最適だと言われており、この厚さを二倍にしたところで初速は変わりません。しかし、ゴムの引きを重くするとそれだけ重い物を加速させることができるようになるので、もし10mm の鉛玉を使っていた場合、ゴムの厚さを二倍にすると良い結果が出る可能性があります。つまり、弾の重さとゴムの引きの重さには最適な組み合わせが有るという事です。高初速のゴムをお探しの方は、狩猟用に最適化された引きが軽く、初速が速いこちらのスリングショット用ゴムを拝見してみてください。
軍用スリングショット
スリングショットは軍隊、というよりゲリラ戦で使用されてきた歴史があります。携帯性の便利さ、制作の容易さ等がゲリラ戦に向いていたことが要因と思われます。2003年のイラク戦争ではサダムフセインが国民に祖国防衛を呼びかけるビデオで、スリングショットによる攻撃を推奨していたほどです。現在ではインドの警察が、暴動鎮圧用に唐辛子粉が入った弾をスリングショットで使用しています。使用されているスリングショットは木製のスリングショットで、致命的な怪我を避けるため銃ではなくスリングショットを使用しているようです。
スリングショットを売っている店
スリングショットは害獣対策、防犯用品として販売されています。都市部の方ですと防犯用品を扱っている店がありますが、郊外の方でスリングショットを店頭で購入するには農協の購買一択となります。しかしながら、価格という面では通販で購入した方が断然安いため、スリングショットは通販で買うのがお勧めです。「スリングショット販売店」の記事で販売店の比較、価格の比較を行っているので見てみてください。スリングショットをもっと深く知りたいという方はこちらのスリングショットのページを参考にしてみてください。
まとめ
スリングライフルはスリングショットの威力、射程距離、飛距離の二倍程度を有しており、一般的に手に入る最強のスリングショットはスリングライフルであると言えます。「スリングショットのファルコンが最強」というような表現が他サイトで散見されますが、実際に初速を測ると、ファルコンは最弱のスリングショットであると判明しました。この事から、ゴムの引きの強さは初速に比例しないという事がわかります。スリングショットの威力を高めるには使用する弾、ゴムが最も大事で、球とゴムはそれぞれ最適な組み合わせが存在するので威力を上げたい場合、いろいろな組み合わせを試すべきです。
よくわかりやすかったですポケットショットというものが最近よく聞くのですが、どうなんですかね
ポケットショットはスリングショットより
命中精度と連射性が優れてたり、寿命も長いです。ですが、径が大きい玉を飛ばすのは向いてない気がします。
登山時に熊対策用にも活用できそうですね、インド警察の唐辛子入り玉